クリムゾン・リバー2

2004年 フランス
監督・オリヴィエ・ダアン
脚本・リュック・ベッソン
出演・ジャン・レノ、ブノワ・マジメル、クリストファー・リー、カミーユ・ナッタ

異なる2つの事件が結びつき大きな謎を呼び起こすアクション・サスペンス・スリラー。フランスのベストセラー小説を映画化した「クリムゾン・リバー」の続編。今回は、リュック・ベッソンによるオリジナル脚本。キリストと12使徒をなぞらえた一味を巡る陰謀を追う2人の刑事の姿を描く。出演は「レオン」のジャン・レノ、「ピアニスト」のブノワ・マジメル。
 ある日、フランス・ロレーヌ地方の由緒ある修道院で、壁に掲げられたキリスト像から血が流れ出すという奇怪な事件が起こる。さっそくパリから派遣されたニーマンス警視が捜査を開始。間もなく壁に埋め込まれた死体を発見する。それは十字架のキリストと同じ体勢がとられ、その死体の横には紋章のような印が残されていた。一方同じ頃、若手刑事レダは麻薬捜査中、キリストに似た傷だらけの男と遭遇し、彼を病院へ運ぶ。やがて、その男は修道院の事件を調べているニーマンスの捜査線上にも浮かび上がってくるのだが…。
イン・ザ・カット

2003年 アメリカ
監督・ジェーン・カンピオン
脚本・ジェーン・カンピオン
出演・メグ・ライアン、マーク・ラファロ、ジェニファー・ジェイソン・リー

ニューヨークの大学で講師をしているフラニーは、社交性に欠け、いつも人に対して壁を作っていた。安定した生活はあったが、生きている実感がなかったフラニーだったが、殺人事件の犯人らしき人物を目撃したことをきっかけに、人生が激変。担当刑事との危ない関係、連続して起こる事件。そんな出来事をきっかけに、彼女の中で何かが変わる…。 『ピアノ・レッスン』のジェーン・カンピオン監督が、スザンナ・ムーアのベストセラー小説を映画化。ラブコメの女王と言われるメグ・ライアンが、イメージをガラリと変えて、心を閉ざしたヒロインの性が開放されていく様を熱演する。共演はマーク・ラファロ、ジェニファー・ジェーソン・リー。ニコール・キッドマンが製作を担当し、原作者のムーアが脚色にも参加。都会でたったひとりで生きる女性が、孤独と絶望から、ひとすじの光を見いだすまでを描き、これまで見たことのない、ライアンの生々しい姿は驚くこと必至。ヌードも辞さない大胆な演技で女優として一皮むけた彼女は、賞賛に値するだろう。
CUBE

1997年 カナダ
監督・ビンチェンゾ・ナタリ
脚本・
出演・モーリス・ディーン・ウィント/ニコール・デボアー/デヴィット・ヒューレット

ある日突然理由もなく、男女6人が鋼鉄の立方体の部屋に閉じ込められた。そこには同じ部屋が多くあり、その集合体で作られた巨大な立方体(キューブ)となっている。各部屋に6つあるハッチから、さあ出口を探せ!
ゲーム感覚あふれる斬新なアイデアと、スタイリッシュな映像センスで、トロント映画祭やサンダンス映画祭をわかせた作品である。6つのハッチから出口を探すしか脱出方法はないが、部屋にはさまざまな殺人トラップが仕掛けられている。無駄なエピソードはいっさい排し、ただひたすら脱出サスペンスと心理ドラマに集中している。監督はデビッド・クローネンバーグ以来の衝撃と賞賛される、カナダの異才ヴィンチェンゾ・ナタリ。映画作りの常識を根底から覆した、画期的な映画である。
レッド・ドラゴン

2002年 アメリカ
監督・ブレット・ラトナー
脚本・テッド・タリー
出演・アンソニー・ホプキンス、エドワード・ノートン、レイフ・ファインズ、エミリー・ワトソン、メアリー=ルイーズ・パーカー

FBI捜査官ウィル・グレアムは、連続殺人の捜査のため、精神科医のハンニバル・レクター博士に助言を受けていた。だが、偶然目にしたものからレクターが犯人であると判明、苦闘の末に逮捕する。しかし、これが影響して精神的疲労が募り、現役を引退。今は家族とフロリダで静かに暮らしていた。そんな彼のもとをある日、元上司のジャック・クロフォードが訪れる。彼はウィルに、最近起きた二家族惨殺事件の捜査協力を願い出た。一度は断るウィルだったが、殺された家族の状況を知るうち捜査に加わるようになる。それでもなかなか犯人像を割り出せないウィルは、やむなく拘禁中のレクターのもとへ意見を聞きに出向くのだが…。
羊たちの沈黙

1990年 アメリカ
監督・ジョナサン・デミ 
脚本・テッド・タリー
出演・ジョディ・フォスター、アンソニー・ホプキンス、スコット・グレン、テッド・レヴィン、アンソニー・ヒールド、ブルック・スミス

女性を殺害しその皮を剥ぐという猟奇事件が続発。捜査に行きづまったFBIは、元精神科医の殺人鬼ハンニバル・レクターに示唆を受けようとする。訓練生ながらその任に選ばれたクラリスは獄中のレクターに接触するが……。前作『レッド・ドラゴン』(映画化名「刑事グラハム/凍りついた欲望」)に初登場し鮮烈な印象を残した狂気の天才レクターを再度フィーチャーした、トマス・ハリスの同名ベストセラーを完全映画化したミステリー。卓越した原作に気押される事なく、そのサスペンスやムードを見事にフィルムに転化したJ・デミの演出も評価されるべきだが、やはり若き女性FBIに扮したJ・フォスターとレクター役A・ホプキンスの、他を圧する存在感なしに本作の成功は考えられない。本筋の皮剥ぎ事件がかすんでしまうほどの、二人の会話シーンのテンションの高さには目を見張るものがある。この種のスリラーとしては珍しくアカデミー賞の作品・監督・主演女優・主演男優賞といった主要部門を独占した。
告発の行方

1998年 アメリカ
監督・ジョナサン・カプラン
脚本・トム・ポトル
出演・ジョディ・フォスター, ケリー・マクギリス?, バーニー・カールソン?, レオ・ロッシ?, アン・ハーン?, スティーブン・アンティン

ある場末の酒場でレイプ事件が発生し、被害者サラ(ジョディ・フォスター)の証言に基づき、女性検事補キャサリン(ケリー・マクギリス)は3人の男をレイプ犯として告訴。しかし、被告側は、同意の元で行われたものと主張し、しかもその夜サラは酒に酔い、マリファナをやっていたことなどから、彼女の立場は不利なものへと追い詰められていく…。 6分に1件の割合で発生するというアメリカのレイプ事情を背景に、女性の尊厳、友情、勇気などを強く訴えて、世界中の女性たちから称賛を浴びたジョナサン・キャプラン監督の秀作。凄絶な集団レイプ・シーンも体当たりで臨んだジョディ・フォスターは、本作の大熱演で見事にアカデミー賞主演女優賞を受賞している。
真実の行方

1996年 アメリカ
監督・グレゴリー・ホブリット
脚本・スティーヴ・シェイガン、アン・ビダーマン
出演・リチャード・ギア 、ローラ・リニー 、エドワード ノートン 、フランシス・マクドーマンド

シカゴの大司教が、78カ所の傷を負って殺害された猟奇事件で、敏腕弁護士のマーティン・ベイルは、名声を得たいがために、その容疑者である19歳の少年アーロンの弁護を無償で引き受け、元恋人のジャネット検事と対決することになる。しかし、大司教を敬愛し、殺害時の記憶を失っているアーロンの、その記憶の糸をたぐり寄せていったとき、そこには恐るべき真実が…。 全米で130万部のベストセラーとなったウィリアム・ディテールの小説をもとにした法廷サスペンス映画。リチャード・ギアが、その甘いマスクを逆手にとっての偽善的弁護士を熱演している。また、容疑者アーロンには後に『ファイト・クラブ』主演のエドワード・ノートンが扮しており、彼の出世作ともなった。
告発

1995年 アメリカ
監督・マーク・ロッコ
脚本・ダン・ゴードン
出演・クリスチャン・スレイター 、ケヴィン・ベーコン 、ゲイリー・オールドマン 、エンベス・デイヴィッツ 、ウィリアム・H・メイシー

時は1941年、25年の重刑でアルカトラズ刑務所に入獄中だったヘンリー(ケヴィン・ベーコン)は脱獄に失敗し、計画を密告した仲間を所内で殺害。死刑は確実と思われた裁判だが、若手エリート弁護士ジェームズ(クリスチャン・スレイター)は、ヘンリーが脱獄以前に彼が3年も地下牢に入れられ虐待されていた事実を知って無罪を主張し、逆に刑務所側を告発する…。 アルカトラズ刑務所が閉鎖されるひとつのきっかけともなった実際の事件を、マーク・ロッコ監督が映画化。時の若手実力派スターの共演プラス、刑務所長役のゲイリー・オールドマンがいつもながらの怪演を見せてくれるのが見ものの、静かながらも息詰まるシーンが連発する法廷サスペンス劇である。
コレクター

1997年 アメリカ
監督・ゲイリー・フレダー
脚本・デヴィッド・クラス
出演・モーガン・フリーマン 、アシュレイ・ジャド 、ケリー エルウェス 、トニー・ゴールドウィン 、ジェイ・O・サンダース 、ビル ナン 、ブライアン コックス

ノースキャロライナで姪が失踪したことを知らされ、現場に飛んだワシントンDCの科学捜査専門刑事クロス(モーガン・フリーマン)は、その地ダイハムで現在までに8人の美しい女子学生が誘拐され、うち3人がすでに死体で発見されたことを知る。そんなおり、9人目の被害者として行方不明になっていたケイト(アシュレイ・ジャド)が、犯人のもとから脱出し、警察に保護された。犯人の声を知る彼女を協力者とし、クロスは独自の捜査を続けていくのだが…。 美女を収集することに執着する異常犯罪者(コレクター)による猟奇誘拐殺人事件の謎を描いたサイコ・サスペンス映画。名優M・フリーマンが、犯人を追い詰めていく執念の刑事を熱演している。
セブン

1995年 アメリカ
監督・デビッド・フィンチャー
脚本・
出演・ブラッド・ピット、 モーガン・フリーマン、 グウィネス・パルトロウ、 ケビン・スペイシー

退職間近なベテラン刑事サマセットが、血気盛んな新人刑事ミルズとコンビを組む。その2人の前に起こったのがキリスト教の「7つの大罪」に基づく連続猟奇殺人事件だった。そして犯人の魔の手が刑事へも…。 7つの大罪とは、憤怒・嫉妬・高慢・肉欲・怠慢・強欲・大食。肥満した男が食べ物につっぷして死に、弁護士は高級オフィスビルで殺害される。監督はこの作品で「密閉感あるスリラー」の名手と定評を得たデビッド・フィンチャー。モーガン・フリーマンが老刑事、ブラッド・ピットが若手刑事を演じる。そしてピットの妻にブレイク前のグウィネス・パルトロウが演じている。
クライム&ダイヤモンド

2000年 アメリカ
監督・クリス・バー・ヴェル
脚本・クリス・バー・ヴェル
出演・クリスチャン・スレーター、ティム・アレン、リチャード・ドレイファス、ポーシャ・デ・ロッシ

逃し屋の偽造詐欺師フィンチは刑務所で知り合ったマイコー(リチャード・ドレイファス)と、連邦刑務所を脱獄する。 2人の目的は、マイコーが25年前に盗み出して、片田舎に埋めた大量のダイヤを掘り返すことだった。脱獄後フィンチはクレティス・タウトという男になりすまし、マイコーも他人になりすました。 タウトは、マフィアの殺人現場を撮影したために、すでに殺された男だったのだが、フィンチはクレティス・タウトの命を狙うマフィアの殺し屋がいることを知らなかった。 マイコーには一人娘テス(ポーシャ・デ・ロッシ)がいた。しかし彼女と再会したのもつかの間、クリティス・タウトと誤解してフィンチを狙うマフィアの襲撃により、彼は死んでしまう。  反目しあいながらも、フィンチはテスから、ダイヤのありかを聞き出す。しかし、その場所は刑務所になっていた。フィンチは自分の命を狙う殺し屋から逃れ、ダイヤも手に入れる為の計画を思いつく。マフィアの殺人に関する重要参考人として刑務所に逃げ込むのだ。フィンチは果たして、マフィアの追っ手を逃れて、ダイヤを手に入れる事ができるのか?
ユージュアル・サスペクツ

1995年 アメリカ
監督・ブライアン・シンガー
脚本・クリストファー・マッカリー
出演・ガブリエル・バーン 、ケビン・スペイシー 、スティーブン・ボールドウィン 、ピート・ポスルスウェイト 、ケヴィン・ポラック 、ベニチオ・デル・トロ 、チャズ・パルミンテリ

コカインの取引現場を何者かが襲撃し、密輸船が爆破して大量のコカインと9100万ドルが消えた。警察は唯一の生存者キント(ケヴィン・スペイシー)の尋問を始める。キントは、事件の黒幕は誰も顔を知らない大物ギャング、ソゼだと語り、彼がキートン(ガブリエル・バーン)ら5人のワルを集めて襲撃させたというが…。 ブライアン・シンガー監督の出世作となった傑作犯罪映画。登場人物に善人などは皆無で、ピカレスク要素を漂わせつつもどこか閉塞的な心理サスペンス・ミステリーが繰り広げられていく。一癖も二癖もある個性派を集結させてのキャスティングも素晴らしい。アカデミー賞助演男優賞(ケヴィン・スペイシー)およびオリジナル脚本賞を受賞。またシンガー監督は本作が認められて「X-MEN」シリーズの監督に抜擢されることにもなった。
アイデンティティー

DVD (2004/02/06)  アメリカ
監督・ジェームズ・マンゴールド
脚本・
出演・ジョン・キューザック, レイ・リオッタ,

大雨で閉ざされたモーテルに、行き場を失った11人の男女が居合わせる。そこで起こる連続殺人。生存者たちは疑心暗鬼になりながらも、自分たちに奇妙な「共通点」があることに気づく。それは偶然ではなく、誰かの企みなのか? 予想もできない結末が彼らを待っていた…。 『17歳のカルテ』などを手がけたジェームズ・マンゴールド監督による、サイコ・ミステリー。メインとなるシチュエーションはこの手のジャンルとしては定番だが、降り続く雨や光量の少ないモーテルの部屋が演出する「閉塞した悪夢」が秀逸で、観客の不安感をかきたてる。前半はホラー色の濃い展開で目を釘付けにしながら、後半にさしかかると「エッ!そんなのアリ?」というまさかの謎解きを用意。脚本の勝利だ。ジョン・キューザック、レイ・リオッタなどの芸達者が、それに応える形で密度の濃い熱演を見せている。