ウォリアークイーン

2003年 イギリス/ルーマニア
監督・ビル・アンダーソン
脚本・アンドリュー・デイヴィス
出演・アレックス・キングストン、スティーヴン・ウォディントン、ゲイリー・ルイス、ジャック・シェパード

紀元60年のブリテン島を舞台に、イケニ族の女王ボウディッカと、ローマの新皇帝であるネロと民族の運命をかけたの戦いを描く。
ローマン・エンパイア

2003年 イタリア/ドイツ/スペイン
監督・ロジャー・ヤング
脚本・エリック・ラーナー
出演・ピーター・オトゥール、シャーロット・ランプリング、マッシモ・ギーニ、アンナ・ヴァレ

時は紀元前45年、共和体制崩壊寸前のローマでは、後に初代皇帝となるオクタヴィアヌスが親友のアグリッパと共に戦場へ旅立った。そして叔父であるシーザー亡き後、後継者となったオクタヴィアヌスだったが、クレオパトラと共に権力を奪おうとするアントニウスに阻まれる。激しい争いの末勝利を手にしたオクタヴィアヌスは、その時真の皇帝となった。しかしアグリッパの死、子孫達の皇位継承争い、復讐を企てるアントニウスの息子、帝国は再び存亡の危機に見舞われて行く…。 主演は名優、ピーター・オトゥール。「ラストエンペラー」や「アラビアのロレンス」など数々の名作に出演、その幅広い役柄を演じこなす演技力にファンも多い。その他、ヴィスコンティ監督の「地獄に墜ちた勇者ども」で広く知られるようになり、最近では「まぼろし」「スイミング・プール」で新たな魅力を発揮したシャーロット・ランプリングなど、キャストには実力派が名を連ねている。総製作費30億円を費やして製作された、壮大な歴史スペクタクルである。
グリーン・デスティニー
コレクターズ・エディション

2000年 中国
監督・アン・リー
脚本・ワン・ホエリン
出演・チョウ・ユンファ 、ミシェル・ヨー 、チャン・ツィイー 、チャン・チェン 、ラン・シャン

全4巻の武侠小説を名匠アン・リー監督が映画化。「武侠」とは、中国に語り継がれる不思議な能力をもつ英雄伝説のこと。名剣グリーン・デスティニーの使い手、リーに扮するチョウ・ユンファを中心に、許されない恋のため、はたまた幻の秘伝書をめぐって、美しき男女が武術を競う。 屋根の上をぴょんぴょんと飛び回り、壁を駆け上がり、宙を舞い、水の上を滑るように渡っていく。しかも、そのすごい技を見せてくれるのが可憐な女性たちなのだ。愛のために戦う女性は強く美しい。 アクション監督は『マトリックス』のユエン・ウーピン。彼の操るワイヤーワークは、観る者の心をワクワクと高鳴らせてくれる。特に竹林の中で戦うシーンは、一幅の絵巻物でも見ているかのようだ。ファンタジー、アクション、ラブストーリのすべてを楽しませてくれる秀作。第73回アカデミー賞で4部門受賞。
ヘブン・アンド・アース

2003年 中国
監督・フー・ピン
脚本・フー・ピン
出演・チアン・ウェン、中井貴一、ヴィッキー・チャオ、ワン・シュエチー

西暦700年ごろの中国・唐王朝の時代。遣唐使の日本人・来栖旅人(中井貴一)は王朝の刺客となって久しかったが、ようやく日本に帰ることを許される。最後の仕事として元軍人の李(チアン・ウエン)の殺害を命じられたものの、王朝への献上品を積んだ駱駝隊を護りながら長安の都をめざしていた李に来栖もいつしか協力し、献上品を奪おうとする一行に立ち向かっていくはめになる……。
中井貴一、初の中国映画出演となった時代劇大作。『双旗鎮刀客』などで知られるフー・ピン監督は、西部劇タッチの活劇に仏教の奇蹟を織り交ぜたエンタテインメントを構築すべく腐心している。前半部のドラマの混乱や、『MUSA』さながらのクライマックスの展開などには大いに疑問も残るが、アクション・シーンのすさまじさや、中井の好演などにより、2時間まったく飽きさせることのない娯楽作に仕上がっている。ヒロイン、ヴィッキー・チャオも可憐。総じてキャストのツラ構えがよい。
MUSA -武士-

2001年 韓国・中国
監督・キム・ソンス
脚本・キム・ソンス
出演・チャン・ツィイー/チョン・ウソン/チュ・ジンモ/アン・ソンギ/ユー・ロングァ/パク・チョンハク

14世紀後半の中国、明と緊迫関係にあった高麗は使節団を派遣するも、到着後にあらぬスパイ容疑を掛けられ、流刑に処された。その道中、一行は元の襲来によって自由の身となるが、その後使節団は元に捕らえられていた明の姫(チャン・ツィイー)を救出。使節団のチェ・ジョン将軍(チュ・ジンモ)は彼女を南京城で連れていき、本来の任務をまっとうしようとするが……。 韓国映画界の充実振りを如実に現すスペクタクル時代劇大作。国家と人間というテーマ性と壮絶な殺陣の数々が見事に融合し、観る者を楽しませつつも社会意識を啓蒙させる優れたエンタテインメントに仕上がっている。キャストでは実質的主人公となる使節団奴隷ヨソル役のチョウ・ウソンと、弓の達人チン役の名優アン・ソンギが傑出して素晴らしい。クライマックスの城を砦にしての元軍との攻防シーンは、凡百のハリウッド大作が束になってもかなわないほどの素晴らしさである。
ブレイブハート

1995年 アメリカ
監督・メル・ギブソン
脚本・ランダル・ウォレス
出演・メル・ギブソン、ソフィー・マルソー、ブレンダン・グリーソン、アンガス・マクファーデン、パトリック・マッグーハン、デビッド・オハラ

13世紀末のスコットランド。イングランド国王エドワード一世の侵略で家族を殺害され、1人異郷に逃れたウィリアム。成人して故郷に戻った彼は、そこで幼なじみのミューロンと恋に落ちる。永遠の愛を誓い結婚した2人だが、彼女はイングランド兵の手にかかり殺されてしまう。 残虐な王の悪政に苦しむ民衆を率いて、自由と解放のために戦った実在の人物を描いた本作は、全編を通してパワーがみなぎる歴史スペクタクル作品だ。製作費7200万ドルを投じ、数千人のエキストラを配した戦闘シーンは圧巻。誇り高く壮絶なラストも、深く心に残る。またロマンスのパートでは、フランスの女優ソフィー・マルソーが華を添えている。 メル・ギブソンが製作、監督、主演の3役を務め、監督賞をはじめとするアカデミー賞5部門を獲得した。
グラディエーター

2000年 アメリカ
監督・リドリー・スコット
脚本・デヴィッド・フランゾーニ
出演・ラッセル・クロウ 、ホアキン・フェニックス 、コニー ニールセン 、オリバー・リード 、リチャード・ハリス

グラディエーターとは、古代ローマ帝国時代の大衆への見世物として、巨大コロシアムで人間同士又は猛獣を相手に死ぬまで戦いを強いられた剣闘士のこと。 時は西暦180年。巨大コロシアムで戦うグラディエーターの中に、自らの野望しかない皇帝によって愛する妻子を殺され、英雄から奴隷の身におとしいれられたマキシマス将軍がいた。彼は妻子の復讐のために真のグラディエーターとなるべく戦い続けるのであった。真のグラディエターとはいったい…? 欲望、嫉妬と邪悪な空気が渦巻く中、妻子への愛の信念を貫くマキシマスにラッセル・クロウが扮している。強さの中に憂いを含む見事な彼の演技によって、戦闘シーンが苦手な女性にもおすすめできる。彼は本作でアカデミー主演男優賞を獲得した。また、リドリー・スコット監督を虜にしたという古代ローマの再現は圧巻。第73回アカデミー賞で5部門受賞。
英雄 ~HERO~

2002年 中国
監督・チャン・イーモウ
脚本・チャン・イーモウ リー・フェン
出演・ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー

秦王のもとに、王を狙った刺客を3人殺したという無名という男が現れた。その功績を讃え、特別に謁見を許された彼は、刺客を殺した経緯を王に語りはじめる。しかし、それは多くの謎を含み、話は二転三転していく…。 『あの子を探して』『初恋が来た道』などのチャン・イーモウ監督が、中国の大スター、ジェット・リー、マギー・チャン、トニー・レオン、チャン・ツィイーを起用して作り上げた歴史ロマン。ワイヤーを多用したアクションシーンは華麗で、まるでバレエを見るようだ。また交錯するいくつかのエピソードの果てに存在する真実、そして衝撃のラストには胸を震わせる感動がある。崇高な精神を持ち、その目的を達成した主人公に敬意さえ抱かせる仕上がりは、さすがチャン・イーモウと言えるだろう。撮影は『ブエノスアイレス』などのクリストファー・ドイル。衣装は『乱』のワダエミが担当。エピソードごとに赤、青、緑と色調を変えたヴィジュアルも一見の価値あり。
ラスト・サムライ

1993年 アメリカ
監督・エドワード・ズウィック
脚本・
出演・トム・クルーズ、ティモシー・スポール、ビリー・コネリー、トニー・ゴールドウィン 、渡辺謙、真田広之、原田眞人、小雪

19世紀末。南北戦争の英雄、オールグレン(トム・クルーズ)は、原住民討伐戦に失望し、酒に溺れる日々を送っていた。そんな彼が、近代化を目指す日本政府に軍隊の教官として招かれる。初めて侍と戦いを交えた日、負傷したオールグレンは捕えられ、勝元(渡辺謙)の村へ運ばれた。勝元は、天皇に忠義を捧げながら、武士の根絶を目論む官軍に反旗を翻していた。異国の村で、侍の生活を目の当たりにしたオールグレンは、やがて、その静かで強い精神に心を動かされていく。
演じるオールグレン大尉と同様に、トム・クルーズ自身が日本の武士道に心酔していく姿が伝わってくるアクションロマン超大作。ハリウッドが撮った日本の歴史という点でも、画期的な一作である。明治維新直後の日本で、軍を近代化したい政府の要請を受け、南北戦争の英雄オールグレンが招かれる。ごう慢な態度で軍を教育する彼だったが、反政府の侍たちとの戦いに敗れ、囚われの身となった山里で武士道精神にめざめていく。 姫路や京都でもロケが行われたが、ニュージーランドやハリウッドのセットで再現された明治の日本が壮観。衣装や小道具は、時代劇を見慣れたファンにも違和感はなく、むしろその細密さに驚かされる。大平原での騎馬アクションは色遣いも鮮やかで、黒澤明の『乱』を彷彿。トム・クルーズと小雪のロマンスには、あえて深く切り込まなかったことで作品全体のトーンも保たれた。侍たちを統率し、政府に反旗を翻す勝元役の渡辺謙は、トム以上の存在感。クライマックスでの彼の壮絶な演技には、身震いしてしまうほど!